君の町 と 黙る

繰り返す
きみを愛しはじめたぼくを
またずっと繰り返す
きみがこの町に
訪うべき日々を約束して


「君の町」     山田彩緒

君の町から離れると
しばらくトンネルがつづく
点々と過ぎるライトに
君の横顔を見る
瞬間
君が笑ったことや
泣いたこと
おどけたこと
怒ったこと
すべてが私の頭に流れ込んでくる
合わせた肌の熱よりも
君のきもちの在り処を
探ろうとする私の目は
果たして正気に
見えただろうか
トンネルを抜けた

ゆきだ

根付かない
今日溶ける、ゆき

………

根づいたのは昨日とけたゆき
あしたがみえない部屋でも
きみの輪郭を追えば
黙っていられる


「黙る」      山田彩緒

つきのみえない
へやで
なにをかんがえているの
なげやりにならないでと
いいかけてはやめた
わたしがそばにいても
うんめいはかわらないとつきはなす
そのめにつきはみえようがない
二人歩んだ時を
刻むものもなく
言葉だったであろうものだけ
吸っては吐いている