愛と風ー貴方と私

迷いながら風をうけていた
草の根に花と茎の息吹だ
写真は土くれの底を
写し撮ることができない

すべてを持ち帰ることもできない
瓶に詰めることも
食むこともできない
そうではあるけれども
ときおり貴方にそれをねだったりする

困った顔の貴方は
私にねだることはあまりない
しかし 別の
持ち帰ることのできない
胸底に宿り続けているものを
ときおりねだる

そっと取り出してみせて差し上げる
高原の追い風のように疾く
大木の根のように逞しい
二人の誓いが果てまでつづくよう
祈りを捧げながら

戸惑いながらも
愛と風を笑顔に宿して
貴方と私は
みつめつづける

向き直って
海の向こうをまた
二人眺める



「山田夫妻(仮)による連詩(改)」