新婚道中
『新婚道中』
山田彩緒
それは青とも緑ともつかない
あなたが紛れ込んだ日々
外の顔を想うのです
私の知らないあなたは
きっとむつかしいお顔をして
ただいまの前に
何か買い物をなさるのでしょう
わたしへのおみやげは
その行為そのものであって
奥ゆかしくも愛しい
小さな甘味だったりするのです
海辺でひとかけらの貝を拾いました
いまはもう無いのだけれど
あなたと並んで歩いた冬を
忘れることはありません
褪せることもないでしょう
あなたとの日々が
あなたの居なかった日々が
まぶたの裏でふわふわと
青とも緑ともつかない様子で
かたちを変え
わたしを休ませます
わたしを愛してくださいますか
いまは約束してくださいますか
儚く美しいあなたのその世界を
わたしが爆ぜさせようとも