軽石の声

軽石をつまみ上げた
黒と赤にわかれていた
誰かが色付けしたのだろう
―夜と夕やけみたい―
と姪がつぶやいた

夜ごと そのつぶやきが
軽石の鮮やかな色と
連れ立って
寝入りばなの夢に あらわれた

ある日 ひとりで
朝の色を探しに出かけた
姪と一緒に探しに出たとき
すぐに見出だせたものが
見つからない

小一時間ほど
広い野原を歩き回った

真っ青な四つ葉のクローバーを
見たような気がして
視線を戻した

取り上げると
青い空きビンの
かけらであった

曇り空から
透明の雨が滴り始めたので
急いで帰る支度をすると
姪の声がしたように感じて
背後を見た

木々の緑を小雀たちが舞っていた

青いビンのかけらを
もう一度取り上げた

ジャージのポケットに突っ込み
家まで走った



                   (山田真佐明)